土木工事で行われる作業のひとつが、「岩盤破砕」です。岩石やコンクリートを破砕する作業で、従来はダイナマイトなどの火薬類を使用していました。しかし安全面や環境面への問題が生じることから、火薬の使用は近年困難となっています。
このような状況を乗り越えるため、安全性や環境に配慮したさまざまな岩盤破砕の手法が開発されていきました。そこで今回は火薬を利用したもの含め、安全や環境に配慮した岩盤破砕の手法にどのようなものがあるかをご紹介していきましょう。
1. 岩盤破砕とは
土木工事では、建造物の土台となる基礎を作るために地面の掘削(くっさく)作業が行われます。そのなかで、硬い岩やコンクリートなど掘削の行うことを「岩盤破砕」といいます。
岩盤破砕の手法は、ダイナマイトなどの火薬類を利用したものから削岩機などの機械を使ったものまでさまざまです。しかし安全面や振動・騒音などの公害の問題により、最近は火薬使用の岩盤破砕を行うことが難しくなっています。
そのため安全面や環境に配慮した、火薬に頼らない岩盤破砕の手法も数多く開発されていきました。
2. 安全や環境に配慮した岩盤破砕の手法
火薬を使用しない、安全で環境にも配慮した岩盤破砕は次のような手法があります。
2-1. 静的破砕工法(静的破砕剤)
静的破砕剤工法は、静的破砕剤という膨張剤を利用した岩盤破砕の手法です。ダイナマイトなどの火薬を使うことで生じる、安全性や振動・騒音などの公害問題への対策として開発されました。
コンクリートや岩石にあけた穴に、水で練り混ぜた生石灰系の膨張剤を流し込みます。熱膨張するときに発生する圧力を利用して、破砕するという手法です。膨張剤を流し込んだ後、12〜24時間で岩盤を破砕します。騒音や振動が発生せず、飛散物もないため安全に作業可能です。
2-2.静的破砕工法(ロックラック工法)
保安物件の近くで効率的に対象物を破砕するために開発された非火薬破砕剤で、テルミット反応による膨張圧で岩盤やコンクリー卜構造物を破砕する工法です
破砕剤(非火薬破砕剤)の入ったカートリッジと2種類(瞬発と段発)の点火具で構成され、瞬発点火具は発破器、段発点火具は専用点火器を用いて点火します。膨張圧で岩盤やコンクリートを破砕するため、爆薬に比べ低振動の破砕を行うことで周囲への影響を最小化できます。また、電子制御による段発点火具を使用することで、トンネルや深礎等で破砕効果が向上します。
2-3. ガンサイザー工法(蒸気圧破砕剤工法)
岩盤にあけた穴に、発熱剤とガス発生剤を成分とするガンサイザーという破砕剤をつめます。そこから電流による熱を加えて、発生した蒸気やガスの圧で破砕させる工法です。
火薬とは違い衝撃波が発生せず、振動の大きさも20〜50%程度に抑えられます。そして火薬取締法の適用をならないため、使用許可の申請も不要です。住宅街や一般道路に近接する現場でも安全に作業可能です。
2-4. 割岩(かつがん)工法(ビッガー工法)
岩盤に開けた穴にビッガーと呼ばれるクサビを挿入します。そこから油圧ピストンによる加圧で、ビッガーを押し広げて破砕させる手法です。油圧ブレーカなどによる二次破砕も、あわせて行われます。
飛散物がなく割れる方向も予測できるため、安全に作業できます。また仕組みが簡単で取り扱いやすいところもメリットのひとつです。
2-5. ロータリー掘削
ロータリー掘削は、ドリルを使用して岩盤を砕く手法です。岩盤を砕くビットが先端に取り付けられたドリルを地下に下ろし、回転させて岩盤を破砕していきます。作業で発生した掘削屑を効率よく処理するために、泥水や空気を利用します。主に井戸を掘る際に行われるものです。
2-6. 岩盤切削(せっさく)工法
こちらは岩盤切削機という重機を用いた、岩盤破砕の手法です。岩盤切削機の中央には、ビットが螺旋状に取り付けられた切削ドラムが装備されています。
本体の自重と切削ドラムの回転を利用して、連続的に岩盤を破砕します。軟らかい岩盤から硬い岩盤まで、幅広く対応可能です。そして低騒音・低振動・低粉塵で機械切削する環境に配慮した工法として、住宅街のなかにある現場などで活用されています。
3. 火薬類を使った岩盤破砕
安全面や環境への配慮から行うのが難しくなったとはいえ、火薬類を使ったいわゆる発破工法もまだまだ健在です。火薬・爆薬の爆発を利用して最も効率よく安価で岩盤を破壊できるので、鉱山での採掘作業や山岳のトンネル建設などで利用されています。
発破工法で問題となるのは、振動・騒音・粉塵といった環境問題でしょう。これらの問題への対策として、爆薬量を最小限にするなどして振動や騒音を抑える工夫が行われています。
そのほか振動や騒音を制御するための、電子制御雷管(EDD)という装置が使われることもあります。さらに安全面においてもさまざまな工夫がなされています。現在発破工法で使われるものの主流は、エマルション爆薬というものです。ニトログリセリンやTNTを含まず、衝撃や摩擦に対する感度が鈍くなるように作られているため、高い安全性をもちます。
また火薬類を使用する際に最も発生率の高いものが、飛石の飛散によるものです。シートやマットによる直接的な防護のほか、発破の規模、周囲の状況によって火薬の量を調整するなどといった安全対策が行われています。このように火薬を使った岩盤破砕でも、安全面や環境への配慮が行われているのです。
4. まとめ
火薬での作業が主流であったために、安全面や環境面における問題の指摘されてきたものが岩盤破砕です。そのような問題へ対処するために、新たな岩盤破砕の手法が数多く開発されていきました。また現場の規模や周囲の環境によっては、火薬による岩盤破砕が行われることもあります。岩盤破砕を行う際には、周囲の環境に合わせてより適切な方法を選択してください。
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